富士フイルムはフィルムメーカーとして知られるが、サプリメントも作っている。それが「グルコサミン&コラーゲン」だが、なぜ、フィルムメーカーがサプリメントを作ったのか?
フィルムの開発リーダーだった植田文教氏(48)は、当時カラーフィルムの開発に没頭していた。薬学部出身で、薬剤師免許を持っている植田氏は、研究所デスクに市販のサプリメントをずらっと並べて健康管理に留意し、過酷な開発の日々を乗り切っていた。
「フィルムの開発は高度な技術力と集中力を求められる過酷なもの。そのフィルム製造技術の中では、コラーゲンを駆使します」(植田氏)
フィルムの主原料であるコラーゲンを知り尽くし、機能を高めることにかけて富士フイルムはプロの集団だ。その過程ではコラーゲンを培養して作り出す。再生医療分野への応用が期待される研究も生まれた。
「2005年ごろ、上司に呼ばれ『キミ、サプリメントをやってみないか』といわれたんです。いわれた瞬間は、『えっ、うちがそれをやるのか』と思いましたが、確かにこれまでの研究や技術で応用できることは多そうだし、やるなら独自で世にないものを作ろうと思いました」(同前)
そして誕生したのが、コラーゲン研究を生かしたサプリメント。膝などの関節痛の悩みを解消する『グルコサミン&コラーゲン』の開発で目指したのは、主成分となるコラーゲンやグルコサミンの機能を最大限発揮させ、時間出来る商品にすること。
「コラーゲンの体内への吸収を高めるためには、細かく、低分子化を進めればいい。でも、そうするとコラーゲン特有のにおいが問題となります。コラーゲンの味とにおいをカバーする独自技術を開発しました」(同前)
コラーゲンの構造そのものまで掘り下げて、課題を解決したのだ。
※週刊ポスト2011年4月15日号