江戸っ子ならずとも好きな人が多いのが、そば!……というわけで、雑誌『料理王国』元編集長の土田美登世氏がセレクトした『加賀』(東京・初台)の「かき揚げそば」を紹介します!
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駆けだしの編集部員だった頃、フランス料理のフルコースを取材する一方で「立ち食いマラソン」企画をやったことがある。早食いが求められるゆえに「つゆはぬるめがいい」といった声も聞いた。当然、かき揚げも作り置きが多かった。
でも初台の立ち食いそば・うどんの店『加賀』はできたて勝負である。客の7割が頼むという「かき揚げそば」がそうだ。ご主人の齋藤隆司さんは注文が入ってから玉ネギ、ニンジンなどが入ったタネを揚げ始める。途中でタネを箸でつつくのは、中まで油を入れてカリッと揚がるようにしているからだという。つつくから、自然とかき揚げも大きくなる。
ゆでたてのそばを器に入れてつゆを注ぎ、厚み3~4センチ、直径10センチほどのかき揚げをのせてできあがり。のせたてサクサクッの衣もいいけれど、汁がしみてブヨッとなったところも好き。作り置きよりほんの2分待つだけで味わえるおいしさ。決して長くない時間だと思うんですけど。これからは冷やしも人気です。
■『加賀』の「かき揚げそば」440円
【住所】東京都渋谷区本町1-2-3
【営業時間】7~20時
【定休日】日祝
【カード】不可
京王新線・初台駅に直結した新国立劇場すぐ横の立ち食いそば・うどん店。オープンして28年となるが店内はきれい。「ちくわそば・うどん(400円)」、「きつねそば・うどん(400円)」など約10種類のメニューから食券を買って注文する。カウンターに置いてあるネギは客が好みの量をのせられる。単品で「ちくわ」や「卵」(各60円)などを注文してのせてもOK。
撮影■岩本朗
※週刊ポスト2011年4月15日号