発達障害は“見えにくい”障害だ。脳の機能障害が原因なのに本人の性格に問題があると見なされ、「協調性がない」「KY(空気が読めない)」と誤解される。
しかし学生時代は見過ごされたとしても、社会に出てからミスを繰り返すと周囲から「努力不足」「自覚がない」と叱責される。それで自信をなくして生きづらくなり、うつ病や神経症、依存症などの二次障害を発症するのが大人の発達障害の特徴だ。最近は20~30代を中心にクリニックや心療内科の受診者が増えているという。
『いま、会いにゆきます』(小学館)などの著作でベストセラー作家として知られる市川拓司さん(48)も社会に出てから症状がより顕在化した。
「出版社に就職したのですが、人間関係が嫌で仕方なかった。発達障害の自閉的な傾向が出たのでしょう。結局、社内の建前と本音に耐えられず3か月で退職しました。2年ほどフリーターをした後、人との接触を避けるために、少人数で働く税理士事務所に事務員として就職しました。ここでは注意欠陥の側面が強く出て、ケアレスミスを1日1回は起こした。毎日がものすごいストレスでした」
※女性セブン2011年4月21日号