福島第一原子力発電所の事故により避難を余儀なくされた人々が、もといた場所に戻れる日はいつになるのだろか? 旭化成工業ウラン濃縮研究所所長などを務めた中部大学教授の武田邦彦氏はこう推測する。
「セシウムやストロンチウムが、雨風で飛散して薄まっていくと仮定すれば、10年で住めるようになるでしょう。また、約2か月後には、政府が“一時帰宅も可能”と発表すると思います。思い出の写真などを自宅に残してきてしまった人は、このときに取りに戻れるでしょう」
避難指示と屋内退避には法的拘束力はないが、この時期までは我慢したほうがいいと武田氏は話す。ただし、「10年後の暮らし」も「6月の一時帰宅」も、ふたつの条件つきだという。
「大前提として、原発事故の処理がうまくいくこと。つまり、原発の安全3原則『止める』『冷やす』『閉じ込める』が全て完了し、放射性物質が外に出なくなることです」
そして、もうひとつの条件として、住民が初期被曝をしていないことをあげる。
「原発の最初の水素爆発から5月の連休くらいまでの放射性物質の濃度は、その後の放射性物質の10倍の量といわれています。これを浴びていないことが重要です」(武田氏)
退避指示エリアから退避するのが遅かった人ほど戻れる時期も遅くなるという。
※女性セブン2011年4月21日号