3月6~7日の2日間にわたって、蓮舫・行政刷新相のもとで「規制仕分け」が開催された。
官僚利権ハンターで「政策工房」社長の原英史氏が「規制仕分け」の現場に乗り込んだ。
* * *
今回の仕分けのとりまとめで、目立ったのはこの「検討する」というフレーズ。「医薬品インターネット販売」を含め、12項目中6項目は、「検討する」という結論になった。つまり、仕分け人たちは「役所で検討せよ」と命じたわけだ。
ここで欠落していたのは、「そもそも規制は誰が決めるべきか」という視点だ。
繰り返し指摘してきたが、我が国では、経済活動の障害となり、国民生活に不便を強い“おバカ規制”の多くが、国会の決める法律ではなく、役所の手で決められている。省令(各省庁の判断で出せる)や通達(局長や課長の責任で発出できる)という形で法律には書いていない規制がなされるのだ。
最近、厚労省で、年金の「第三号被保険者」の処理の問題(専業主婦の切り替え漏れ問題)が課長通達で決められたことが問題になったが、これもその一例。
「医薬品インターネット販売」も、法律上はどこにも「禁止」と書いていない。役所の定める省令で突如「対面販売原則」なるものが定められ、禁止されているのだ。
原点に立ち返って考えれば、大事なことは国会で、つまり国会議員による議論で決めなければおかしい。それが民主主義の基本だ。
そういう意味で、今回の仕分けでは、本来、「規制を省令や通達で決めてきたことがおかしい。国会で議論すべきだ」という大原則を打ち立てるべきだった。つまり、「国会で決めるべきこと」と「役所に任せてよいこと」の仕分けこそ、最初にやるべきだったと思うのだ。
それなのに、仕分け人たちが「役所で検討せよ」と命じたり、「不届きな役人叩き」で悦に入ったりしていたのは、結局、「規制は役人が作るもの」という思い込みに囚われているからではないか。裏を返せば、「大事なことは役人が決める」という不思議な不文律の追認にほかならない。
これでは、何のための仕分けだったのかわからないのではなかろうか。
※SAPIO2011年4月20日号