八百長問題に絡んで、協会理事の北の湖(元横綱)、九重(元横綱・千代の富士)、陸奥(元大関・霧島)の3親方が理事を辞任したことにより、貴乃花親方(元横綱)が来年2月の理事改選に向けて俄然注目を集めている。とはいえ、一気に「貴乃花理事長」へと時代が転換するかどうかは、いまだ不透明である。
「貴乃花理事長」阻止の急先鋒と目されているのが、八百長だけでなく、野球賭博事件でも弟子に「調査対象者」を出しながら、いずれもスレスレで逃げきった尾車親方(元大関・琴風)である。
4月1日、両国国技館で開催された臨時理事会で特別調査委員会が23人の力士、親方に処分を言い渡したとき、会場から出てきた力士たちはそれぞれに本音、不満をぶちまけた。
「こんなバカな話はない」と声を荒らげたのは、一人だけ退職勧告を受け入れなかった谷川親方だ。
「尾車親方は八百長問題の調査が始まる前に、携帯電話を取り替えておけと力士に指示している。それこそ八百長だよ! 野球賭博の時にも嘉風(の名前)が出ていたでしょ」
特別調査委が八百長に関与したと一旦は認定した尾車部屋のモンゴル人力士、十両・星風は、疑惑を指摘された2009年九州場所の一番が、物言いがつく微妙な勝負だったために「灰色」として処分は見送られた(※その後、11日に星風に引退勧告の追加処分が下った)。昨夏の野球賭博疑惑の対象となった同部屋の前頭・嘉風は、特別調査委の調べに対して、上申書を提出する以前に関与を認めたために情状酌量されている。
※週刊ポスト2011年4月22日号