震災後、中国のヘリが東シナ海の日中中間線付近で海自護衛艦に急接近したり、ロシア軍機が日本領空に接近、空自戦闘機が緊急発進するなどの事態も起きている。
評論家の宮崎正弘氏はこう分析する。
「震災の影響を観察すると同時に、震災復旧の出動で手薄になった自衛隊に対して、防衛能力がどれほどのものか、どの程度手薄かと、探りを入れているんです」
防衛省関係者によれば、自衛隊のレーダーサイト(防衛用レーダーの地上局)は災害支援用の輸送機や救難機の誘導に加えて、領空接近への対応も行なわなければならず大変だという。自衛隊23万人のうち10万人以上が被災地に派遣されている現状を、中国やロシアは冷静に見ている。韓国が竹島に海洋基地を建設する計画を発表したのも、その一環と見ていい。
経済的にも、日本は狙われている。中国の経済専門新聞「第一財経日報」(3月29日付)は、〈日本の大震災と不況入りは中国にとって千載一遇の機会であり、これを契機に中国企業が基幹部品や素材の供給先として日本の地位を一気に奪える〉と報じたのだ。
※週刊ポスト2011年4月22日号