首都圏で実施されている計画停電に伴い、飲食店などでは閑古鳥が鳴いている。しかし、経営コンサルタントの大前研一氏は、計画停電に伴う様々な産業への影響を指摘する
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最も大きなダメージを受けているのは半導体の工場だ。半導体は非常に高い環境清浄度が維持されたクリーンルームでなければ製造できない。停電になると、それが失われてしまう。再びクリーンルームを使用可能な状態に戻すためには半日くらいクリーンアップしなければならない。それどころか、ひとたび環境清浄度が失われたら、中にあるウェーハ(基板)が全部おしゃかになってしまうのだ。
あるいは、サーバーや病院など停電できない産業が東電圏全域にたくさんある。それらがダメージを避ける手立ては西日本に移るか、日本を脱出する以外にないが、病院のように逃避できない産業もある。だから計画停電は一刻も早くやめなければならない。
考えるべきは節電よりもピーク時の電力使用量の圧縮だ。ブラックアウト(大停電)を避けるためには、1日の平均使用量ではなくピーク時の使用量を削減し、集中を排除する必要がある。
※週刊ポスト2011年4月22日号