各企業から多くの義捐金が寄せられているが、もちろん義捐金だけが社長の仕事ではない。社業の継続と推進こそ長期的視座で見ると震災復興に繋がる。求められるのはトップの強いメッセージだろう。
例えばソニーのハワード・ストリンガー会長は入社式で、力を込めていった。
「再生への道には決まったやり方はない。皆さんの創造力、決断力が試される」
ソニーは8事業所が被災するなど大きな被害を被った。しかし目下、社員たちの心には再建の灯火がともりつつあるという。
ソニー関係者が説明する。
「会長は震災直後から義捐金プログラムを立ち上げ、『ソニーファミリーの力を見せる時がきた』と世界のグループ社員に支援を呼びかけた。すると数時間のうちに世界中から何万ドルもの義捐金が集まった。ラテンアメリカの社員からは、給料とボーナスの5%を天引きして支援に充てて欲しいとの申し出もありました。
そこには、『これまでソニーが私に与えてくれたのはサラリーや肩書きだけではない。プライドと人生における数々の経験です。それらは決して消えない』との言葉も添えられたそうです。これは我々日本人社員にとっても嬉しかった。今までストリンガー会長には距離を感じていたけど、海外への訴求力に頼もしさを覚えました」
※週刊ポスト2011年4月22日号