震災後、突然女性からメールがよく来るようになった――そんな男性からの声が聞こえるようになったが、動物行動学的見地から見ても、震災などの非常時において、女性が男性を受け入れやすくなっているという事象は確認できる。動物行動学研究家で『女は男の指を見る』(新潮新書)の著者である竹内久美子氏がいう。
「1965年、ニューヨークを中心とするアメリカ北東部では大停電が起こり、3000万人もの人々が暗闇の中で一夜を過ごしました。その270日後にベビーラッシュが起こったことが知られています。2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーン“カトリーナ”の後にも、同様のことが起こりました。
人間の女性は一定の周期で排卵をする“自然排卵”ですが、ほ乳類の中にはネコやラッコのようにメスが性交時にまれたりして痛みを感じることが引き金となって排卵を誘発する“交尾排卵”の動物が数多くいます。非常時を受けての出産ラッシュは、交尾排卵の名残からか、大きな不安や恐怖が刺激となって予定外の排卵が起きたからとしか考えられません」
不安なときこそ、人間は本能的に子孫を残そうとするということなのか。
※週刊ポスト2011年4月22日号