ナベツネこと渡辺恒雄・読売グループ会長としては、政府や選手会に押し切られたようで、よほど面白くなかったのだろう。しかし、あるプロ野球関係者はこういって眉をひそめる。
「むしろ他の野球関係者は、渡辺氏にクレームをつけたいはずですよ」
世間の“節電モード”を無視した渡辺氏の言動が、社会人野球や高校野球の日程にまで影響しているというのである。
「都市対抗野球は8月26日に東京ドームで開幕予定でした。ところが、巨人が3月中開催に固執したせいで、東京ドーム1試合で一般家庭の3000~4000世帯分の電気を使用するといったことが大きく報じられ、やむなく秋に延期に。その影響で10月29日の社会人の日本選手権は初の中止が決まりました」(前出・関係者)
延期になった都市対抗野球の開催場所は未定だ。関東・東北以外で開催することになり、いったんは大阪ドームでの開催案が浮上したが、プロ野球がズレ込むため、オリックスがCSや日本シリーズに出場すれば本拠地の京セラドーム大阪は使えなくなる。
まさにトコロテン式に押し出された社会人野球側は今、「ほっともっとフィールド神戸」球場での開催を模索中だという。
こうした状況に、野球評論家の江本孟紀氏「プロ野球の日程変更のしわ寄せがアマにいっているのは明らか。プロが責任を持って球場の手配などを行なうべきです」とクギをさす。
※週刊ポスト2011年4月22日号