政府は4月11日、福島第一原発事故後に出していた半径20km圏内の避難指示を見直し、放射線の積算量が年間20ミリシーベルト以上に達すると予想される地域を「計画的避難区域」とし、1か月後までに避難することを求めた。さらに、原発から20~30km圏の一部を「緊急時避難準備区域」にするという。このエリアでは緊急の際にいつでも避難できる準備が求められ、子供や妊婦などは立ち入らないよう求められる。
これまでは同心円状の区域設定だったが、これによって福島県の葛尾村、浪江町、飯舘村、そして川俣町の一部と南相馬市の一部が対象となった。距離でいえば、半径40~50kmの地域が含まれている。3月28、29日に福島第一原発から約40km離れた福島県飯舘村を調査した日本大学生物資源科学部の小澤祥司氏はこう語る。
「震災直後は原発が危機的な状況だったので、暫定的な措置として、単純に距離だけで決めたのは仕方がないかもしれません。しかし、そこから現実的な汚染度による措置がとられるまでの時間がかかりすぎているんです」
京都大学原子炉実験所助教の今中哲二氏を代表とする小澤氏たちのグループが飯舘村を訪れ、実際に放射性物質を測定。採取した土壌からヨウ素131、セシウム137などの放射性物質が高い数値で検出された。
「放射性物質の拡散は風向きや大気の影響など気象状況に左右されるので、原発から単純に同心円状に広がることはありえません。放射性物質が拡散して上空にあるとき、雨や雪が降るとそれに伴って放射性物質が地上に降り注ぎ、非常に高濃度で汚染されます。また、飯舘村は盆地という地形もあって、汚染した大気が集まりやすいということもあるかもしれません」(小澤氏)
※女性セブン2011年4月28日号