連日の報道で大震災の惨状が伝えられているが、計画停電をはじめ、首都圏でも“別の形”の深い爪痕が刻まれている。
例年に比べて取扱量が激減しているのが首都圏の台所といわれる築地市場だ。競りの主役ともいえるマグロの入荷量は50%減。イワシやサバも60~80%ダウン。3月第4週の総取扱量は1600トンで、これは前年同月比約25%減とも報じられた。
「10年以上毎日通ってっけど、こんなにマグロが少ねぇの初めてだ」
と出入り業者の口からも弱音が漏れる。震災の影響で東北からの入荷が滞っていることに加え、原発事故による海水汚染など、風評被害がカウンターパンチとなった。
ちょっと足をのばして上野公園を覗いてみた。毎年この時期になると、卓上コンロやカラオケ機材まで持ち込んで大盛り上がりの花見スポット。しかし今年は夕方6時を過ぎると閑散。仮設トイレやゴミ置き場も設置されず、ライトアップもないためあたりは真っ暗。「宴会自粛」を求める看板が園内20か所に置かれたことも、人出が少ない原因に。
東京・足立区の病院ではクルクル変わる計画停電のあおりをモロに受けた。停電の時間帯はたとえ停電が実施されなくてもあらかじめ医療機器の電源を切っておくので、一命を預かる手術はとてもできないのだ。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2011年4月22日号