国際情報

元慰安婦の抗議中断に産経ソウル支局長 意見求められる

日本の東日本大震災に対する韓国人たちの慰め、同情、支援、心遣いがすごい。マスコミの報道はもちろん、官民挙げて「日本を救え」運動が大々的に展開されている。こんな現象は16年前の阪神淡路大震災の時もなかった。韓国で何が起きているのか、産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏はレポートする。

* * *
今回の震災で韓国メディアからインタビューを受けたのだが、韓国での日本救援キャンペーンを背景に「これをきっかけに日韓はもっと仲良くなるのでは?」といわれた。

このあたりは韓国人らしい(?)性急さかもしれない。「われわれがこんなに日本のことを思っているのだから、日本も当然それに応えるはずだ」というわけだ。官民挙げてのありがたいお見舞いと救援には感謝するしかない。質問に「ノー」とか「?」はありえない。答えは当然「そう期待したい」となる。

韓国人は、日本人に比べるとはるかに“情緒的”だ。あるいは、感情的で感傷的だ。感情に正直というか。日常的にも、人の不幸は黙って見ておれないところがある。

韓国人の美質だが、こうした“情”は時には一方的で押し付けがましくなる。これでもか、これでもか、というわけだ。今回の“情”に日本はどう応え、その行方が日韓関係の今後にどう影響するのか、ウォッチャーには興味深いポイントである。

メディア・インタビューの中で奇妙な質問があった。これも押せ押せの“情”と関係する。「元従軍慰安婦たちも日本への抗議を中断し、お見舞いと支援を語っているが、どう思うか…」というのだ。

元慰安婦の老女たちはこれまで毎週、支援団体とともに日本大使館前で抗議の反日デモを続けてきた。しかし大震災を機に抗議を中断し、逆に日本支援を訴え、それが韓国マスコミに大きく紹介された。「恩讐を越えた美談」ではあるが、答えはつらい? そこでこう答えておいた。

「ありがたい話だが、韓国マスコミがそれを大きく報道するのはどうか。領土問題もそうだが、今回の大震災と歴史問題は関係ないはず。そうした話が日本に伝わると、逆に日本人の間で韓国からの慰労や激励、支援など純粋な善意と友情に疑問を抱く人が出るかもしれない、そうなると残念だ」と。

何はともあれ、せっかくの友情に勘ぐりは避けたい。ぼくは現地で韓国の支援に大いに感謝し、感動している。

※SAPIO2011年4月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

不倫報道のあった永野芽郁
《“イケメン俳優が集まるバー”目撃談》田中圭と永野芽郁が酒席で見せた“2人の信頼関係”「酔った2人がじゃれ合いながらバーの玄関を開けて」
NEWSポストセブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
山口組がナンバー2の「若頭」を電撃交代で「七代目体制」に波乱 司忍組長から続く「弘道会出身者が枢要ポスト占める状況」への不満にどう対応するか
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん、母・佳代さんのエッセイ本を絶賛「お母さんと同じように本を出したい」と自身の作家デビューに意欲を燃やす 
女性セブン
日本館で来場者を迎えるイベントに出席した藤原紀香(時事通信フォト)
《雅子さまを迎えたコンサバなパンツ姿》藤原紀香の万博ファッションは「正統派で完璧すぎる」「あっぱれ。そのまま突き抜けて」とファッションディレクター解説
NEWSポストセブン
国民民主党の平岩征樹衆院議員の不倫が発覚。玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”に(左・HPより、右・時事通信フォト)
【偽名不倫騒動】下半身スキャンダル相次ぐ国民民主党「フランクで好感を持たれている」新人議員の不倫 即座に玉木代表よりも重い“無期限の党員資格停止”になった理由は
NEWSポストセブン
ライブ配信中に、東京都・高田馬場の路上で刺され亡くなった佐藤愛里さん(22)。事件前後に流れ続けた映像は、犯行の生々しい一幕をとらえていた(友人提供)
《22歳女性ライバー最上あいさん刺殺》「葬式もお別れ会もなく…」友人が語る“事件後の悲劇”「イベントさえなければ、まだ生きていたのかな」
NEWSポストセブン
4月24日発売の『週刊文春』で、“二股交際疑惑”を報じられた女優・永野芽郁
永野芽郁、4年前にインスタ投稿していた「田中圭からもらった黄色い花」の写真…関係者が肝を冷やしていた「近すぎる関係」
NEWSポストセブン
東京高等裁判所
「死刑判決前は食事が喉を通らず」「暴力団員の裁判は誠に恐い」 “冷静沈着”な裁判官の“リアルすぎるお悩み”を告白《知られざる法廷の裏側》
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《インスタで娘の誕生報告》大谷翔平、過熱するメディアの取材攻勢に待ったをかけるセルフプロデュース力 心理士が指摘する「画像優位性効果」と「3Bの法則」
NEWSポストセブン
永野芽郁
《永野芽郁、田中圭とテキーラの夜》「隣に座って親しげに耳打ち」目撃されていた都内バーでの「仲間飲み」、懸念されていた「近すぎる距離感」
NEWSポストセブン
18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん
「女性のムダ毛処理って必要ですか?」18年間ワキ毛を生やし続けるグラドル・しーちゃん(40)が語った“剃らない選択”のきっかけ
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《田中圭に永野芽郁との不倫報道》元タレント妻は失望…“自宅に他の女性を連れ込まれる”衝撃「もっとモテたい、遊びたい」と語った結婚エピソード
NEWSポストセブン