4月12日、政府は福島原発の事故を「レベル7」に引き上げた。報道されている通り、レベル7というのは国際原子力機関(IAEA)が定めた国際原子力事象評価尺度に基づく事故の等級である。0~7の等級で区分され、今回、福島第一がランクされたレベル7は最も重大な事故を示す。過去には1986年のチェルノブイリ原発事故のみが、このレベルとされている。
等級は、主に放射性物質の漏れた量によって決められる。原発の場合、施設の外部に放射性物質が漏れればレベル3以上になり、日本では1999年の東海村JCO臨界事故(※下記参照)のレベル4が最悪の事故だった。
元原発技術者の大前研一氏は、政府が当初、事故をレベル5と発表した時にすでに、「甘すぎる。世界の笑い者になる」と批判していた。つまり急に事態が悪化したわけではなく、今回のレベル変更で明らかになったのは、政府・東電が真実を明らかにせず、事故を小さく見せようとしてきたことだ。むしろ周辺の放射線量は日を追って減っている。
が、これでは一般の国民が「事態が悪くなった」と感じるのは当然だし、もう少し専門的知識を持つ人たちは、事故が悪化したとは思わなくても、政府・東電の隠蔽体質に、さらなる恐怖を感じるだろう。
※東海村JCO臨界事故/1999年、茨城県東海村の核燃料加工施設「ジェー・シー・オー」で起きた事故。誤った手順で加工作業が行なわれた結果、ウラン溶液が臨界状態になり、作業員3名が大量に被曝、うち2名が死亡した。事故調査委員会は、周辺住民を含め667名が被曝したと認定した。
※週刊ポスト2011年4月29日号