震災の影響で紆余曲折を経た2011年プロ野球が開幕したが、今シーズン、盛り上がりを見せるのが新人王争いだ。
特に黄金世代と呼ばれる斎藤(日本ハム)、大石(西武)、澤村(巨人)、福井(広島)ら大学生投手陣は、ドラフト3位以内に10名が指名を受ける豊作の年となった。なかでもオープン戦に活躍した澤村、そして球界のアイドル斎藤にプロ野球ファンの注目が集まる。
一方、MLBスカウト陣は、少し違った角度でルーキーを眺めていた。米球団スカウトが明かしてくれた。
「彼らの大学時代の成績をセイバーメトリクス(野球統計学の分析手法)で用いられる指標を使って評価してみたんです。すると、評価できる投手としてあがってきたのが楽天の塩見、中日の大野、そして西武の大石でした。
3人とも、DIPS(野手の善し悪しにかかわらず、投手自身でコントロールできる部門の数値。奪三振、与四死球、被本塁打によって生成され、数値が低いほど運や守備に左右されない投手自身の能力が高い)の指標が2以下です(塩見1.277、大野1.630、大石1.299)。これは、近年最高の大卒新人投手だったソフトバンク和田の早大時代(1.809)よりも優れた数値です」
3人とも、WHIP(1イニングあたりに出塁を許した平均人数を示す指標)も1以下だ(塩見0.767、大野0.551、大石0.835)。これは、出塁を許さない安定したピッチングがなされていたことを示す。
「特に六大学野球という高いレベルで、そして抑えという重圧のかかる場面で数値を残した大石にはぜひメジャーに来て欲しい」(同)
※週刊ポスト2011年4月29日号