震災の影響で紆余曲折を経た2011年プロ野球が開幕したが、前半戦、日程変更の恩恵を受けたのは開幕連勝スタートを切った阪神だろう。
従来、センバツの影響でビジタースタートになるところ、開幕6カードのうち4カードを甲子園で迎える。
開幕延期も左膝半月板の縫合手術をした城島や、右肩腱板部分断裂からの復活を期する金本を抱える阪神にはプラスに働くだろう。トラ番記者がいう。
「今季から導入の統一球『飛ばないボール』の影響で飛距離は1m近く減り、投手有利の展開が予想される。その点、阪神には久保田、ロッテから移籍した小林、藤川の救援陣“KKK”がいる。心強いですね」
一方、ライバル巨人は節電の影響で4月中に東京ドームを使えないという計算外の出来事が起こった。自慢の打線にも統一球の影響が懸念されている。球団関係者は嘆く。
「オープン戦で、巨人のホームランはたった2本。それも8試合目でやっと出た。気圧の影響で球が飛びやすい東京ドームも使用できない。名物だったラミレスや阿部、小笠原の“ドームラン”は激減するでしょうね」
救いは巨人が今季増加するデーゲームに強いことか。昨シーズン計38試合で勝率は5割3分、これはリーグ2位の数字。ちなみにデーゲーム勝率1位は、中日の5割9分だ。
昨年優勝の中日は投手陣の豪華さで阪神に匹敵。もちろん今年も優勝候補だ。チェンと吉見の左右のエースがケガで開幕に間に合わないが、巨人との東京ドームでの試合が中止になったのが幸いして、開幕2週間で9試合しかない余裕の日程となっている。
“粘りのバッティング”も僅差の勝負では生きてきそうだ。その象徴といえる井端はファウル数483、規定打席到達者で最多だ。一方で空振りは東出(広島)と並んで最小だった。
ダークホースは神宮球場を本拠に持つヤクルトか。
「神宮球場は狭いため、打者はホームランを狙いやすい。実際にオープン戦ではチームで、9本放った。もともと石川、由規、館山、村中ら投手陣は10勝以上計算できるだけに、打撃陣が後押しすれば面白い存在になる」(スポーツ紙記者)
ただ昨季首位打者の青木は、10回以降に放ったヒットがゼロ。チームリーダーの勝負弱さは気になる。
※週刊ポスト2011年4月29日号