【書評】『グラビアアイドル「幻想」論 その栄光と衰退の歴史』(織田祐二/双葉新書/838円)
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「グラビアアイドル」の勃興から衰退までの歴史を、具体的なグラビアアイドル名を徹底的にあげて解説した書である。著者の織田祐二氏は、これまで400人以上のアイドルを取材したライター。同書では「巨乳」ということばが誕生した瞬間がいつかを分析したり、「巨乳ビジネス」を確立したイエローキャブの野田義治社長のビジネス手腕について論じるなど、業界のキーワードや裏事情の解説も行う。
たとえば「グラビアアイドル胸の大きさの歴史」については、「巨乳」(雛形あきこ・小池栄子・優香ら)→「爆乳」(根本はるみや松金洋子(現・ようこ))に移った後、それ以上にはいかず、飽きられた理由をこう説明する。
「ただし、爆乳アイドルの勢いが長く続くことはなかった。要因の一つは、07年に120センチPカップという、驚異にして脅威的な爆乳を持つ風子が登場したこと。彼女のあまりに人間離れした(一部で豊胸疑惑も浮上)形状の爆乳を目の当たりにして、我々は瞬間的には驚喜した反面、一方で冷静な視線を送る自分に気づかされる。“デカければいいってものじゃない”という結論に直面させられたのだ」
さらにはAV嬢も美形が増えたがゆえにグラビアアイドルに見切りをつける男が増えたこと、あまりにバラエティ番組でぶっちゃけエロトークをするもさほどウケず、むしろグラビアアイドルとしての原点――「ファンに夢や希望を持たせてくれなければいけないという原点回帰の動きが生まれたのだった」と説明する。
現在グラビアアイドルはエロさを取るのかアイドル性を取るのかどっちつかずの状態にある。織田氏は同書を通じ、グラビアアイドル復権にはなにが必要かを、綿密なデータと分析を元に「本来の姿、あり方に立ち還ることこそが重要」と提言する。