5月8日に始まる技量審査場所は、大相撲史に残る「面白い」場所になるかもしれない。露骨な八百長はできないため、ほとんどの力士がガチンコ勝負で臨むだろう。果たして今場所では誰が活躍するか? 場所前に予想をしてみよう。
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平幕力士の中でも、注目されるのがモンゴル力士たちの兄貴分・旭天鵬だ。実は処分された力士のうち6人がモンゴル人ということで、彼らの協会に対する怒りから来るモチベーションの高さは相当なものがあるという。
「モンゴル人連合は角界で今や一大勢力。旭天鵬は白鵬も頭が上がらない存在で、今場所の優勝候補にもあがっています。なぜなら、彼はガチンコでは滅法強い。これまでは兄貴分として、負け越しそうなモンゴル力士たちのために“人情相撲”で星を回してやっていると見られていた。すでに帰化して大島部屋を継承することも決まっているため、今後の成績次第で大関昇進も夢ではありません」(相撲担当記者)
むろん体格、体力で圧倒的に勝る琴欧洲や把瑠都といったヨーロッパ勢もガチンコでは有利だ。
半面、凋落の色が濃いのは日大グループである。谷川親方(元小結・海鵬)をはじめ、山本山や境澤など5人が処分を受けた日大勢。メンバー激減でグループ内の星の回し合いができなくなり、番付維持は絶望的ともいわれている。
ただし、例外が“ロボコップ”こと高見盛だ。
「高見盛は稽古場では“手を抜くな”と注意されるほど弱い。本場所の立ち合いでも肩から当たって不利になるとすぐにあきらめる。だが、自分の型にはまると凄い力を出す。何よりケガが少ないので、15日間トータルで見ると高見盛のようなタイプが有利でしょう。
もうひとつの理由は懸賞金。いつもなら人気者の高見盛の取組には何本も懸賞がつくので、相手がしゃかりきになってぶつかってきた。でも、今回は懸賞がないから目の敵にされることもない。気楽にやれる分、穴馬的存在かもしれませんね」(担当記者)
※週刊ポスト2011年4月29日号