被災地に近いことから、多くの避難者が身を寄せる新潟市。市は避難者の知らないところで、悩ましい問題を抱えていた。
中国政府側から市に在新潟中国総領事館を市有地の旧万代小学校跡地(約1万5000平方メートル)に移転・拡張したいとの申し出があったのは昨年のこと。市は受け入れの方針を示していたが、尖閣事件以降の対中感情悪化などが原因となり、反対運動が起こっていた。さらにこの3月22日、反対する地元住民や市民団体による請願を新潟市議会が賛成多数で採択し、市長が「売却に向けて話を進めることは困難になった」と事実上の断念を表明する事態となった。
さて、一見、無関係に見える避難者と領事館の問題だが、実は大いに関連があったのである。
「今回の震災で中国人の避難者が新潟に大挙結集したことが、採択に影響した」と打ち明けたのは、山田洋子市議である。
震災後、新潟には、被災地から約5000人もの中国人が殺到した。中国大使館や在新潟総領事館がホームページで「自国民の救出のために新潟まで送り、飛行機で中国に帰る手助けをする」と表明したことが発端となり、口コミで集まってきたのだという。
その結果、中国人に締め出された日本人避難者も現われた。福島県いわき市から新潟市体育館に避難した男性もその一人だ。
「3月14日に避難してきて、最初は新潟の産業振興センターにいたのですが、中国人であふれかえってしまった。翌日から中国人専用の避難所に切り替わったので、こちらに移りました。ほかにも2施設が中国人専用となったようです」
記者は実際に中国人専用の避難所を訪れたが、みな騒ぐ様子もなく、整然と出国を待っていた。だが、市民のなかには別の印象を抱いた人も多かったようだ。前出・山田市議が指摘する。
「避難所で中国人の方々が出した食べ物などのゴミの山を、市の職員が24時間体制で処分していたということを聞いております。空港でも同様に食べ物のゴミが山のようになっていて、空港職員が片づけるのに苦労したそうです。
公共マナーの面ではやはり文化の違いがある。そういった面で今回の避難所や空港に大挙結集した中国人に対し、異様さを感じた市民は多かったと思います。当然、それを市議たちも感じたのではないでしょうか」
※週刊ポスト2011年4月29日号