原発事故の対応をめぐって東京電力への批判が止まない。経営幹部の責任は厳しく問われるべきだが、一般社員たちもまた、激しいバッシングの矢面に立たされている。
そんな東電社員の間では、繁華街に飲みに行くのを控える、タクシー利用を止める、などの動きも広がっている。さらに柏崎刈羽原発では、「協力企業の作業員がバスで通勤するのに対し、タクシーを使うのは東電社員だけなので目立ってしまう。そこで反原発派に見つからないように、軽トラックに乗り合うなどして帰宅している」(職員)という。
社員たちが困惑するもう一つの要因は、情報が回ってこないことだ。
「会う人会う人に『隠蔽体質なの?』『東電タブーってあるの?』とか聞かれるんですけど、広報でもないし、原発のことは社員も知らされてないから、本当にわからないんですよ」(20代男性)
不安をさらに煽ったのが、清水正孝社長の入院である。復帰後の4月11日に福島を訪問した清水社長だが、実は入院前の3月26日にも福島第一原発などを訪ね、事故対応に当たっている同社や関係企業の作業員を激励していた。ところが、社内のホームページにアップされたその写真を見た社員たちは、「こんなにやつれているなんて……」と絶句したという。その後、写真は削除され、社長は入院した。
※週刊ポスト2011年4月29日号