スポーツ

広岡達朗氏 長嶋茂雄が巨人の理念を変えてしまったと語る

 大騒動ののちに、プロ野球が開幕した。球団経営、選手の意識の裏側になにがあるのか? 作家の山藤章一郎氏が報告する。

 * * *
 時代はめぐり、セ・パを取り巻く環境も、野球経営の構造もさま変わりした。日本プロ野球はどんな問題をかかえ、どこに向かうのか。

 ヤクルトと西武を率い、セ・パ両リーグの監督として近年ただひとり日本一になった広岡達朗氏の意見。

「震災による開幕日の延期で、今回初めて常識が勝ちました。正力さんが思い描いた巨人はいまのようなものではなかったのです。ジェントルマンである。アメリカに追いつき追い越す。リーグ優勝ではなく、日本一のチャンピオンになる。そして迎賓館でチャンピオンフラッグを手渡す正力松太郎がニコッと微笑む。

 そのときはじめて俺たちは働いたんだと実感した。

 その理念が崩れてきたのが、長嶋茂雄の出現からです。ファンを魅了し続けた長嶋ですが、一度巨人の監督をクビになった。その時、ファンらは『長嶋を戻せ』でないと観に行かないぞ、ということがあった。そして長嶋が出てきた。以後、勝っても負けても客は来るようになったんです。そこへ1億円の放映権料も入る。他球団も対巨人戦のそれにあやかれる。

 とはいえ球界の盟主だと。やはり負けちゃいけないと。そこで、そこまでやるかといわれるぐらいいい選手を集めようとする。すると育成にしわ寄せが来る。若い選手の出るチャンスがない。チーム、球団で選手を育てていく教育システムもない。

 人間の潜在能力というのはすごい。大脳を通り越して小脳まで届かせたら、スーパー選手の仲間入りができるのです。フロント、監督、コーチは、人は教育で育つ、選手の潜在能力を引き出す方程式を辛抱強く伝える、という哲学を持たなければならない」

※週刊ポスト2011年4月29日号

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン