未曾有の大災害後、急がれる復旧・復興の歩みを妨げているのが余震だ。わずか1か月でM5.0を超える余震は500回を超えた。相次ぐ余震のなかでも注意が必要なのが「アウターライズ地震」だという。
日本列島は4つのプレートからなっている。今回の東日本大震災は、太平洋プレートが北米プレートの下へと潜り込み、引きずりこまれた北米プレートが跳ね上がってしまうことで起きる逆断層型だった。アウターライズ地震は跳ね上がったプレートではなく、潜り込む側のプレートで起こるという。琉球大学・木村政昭名誉教授が説明する。
「太平洋プレートは北米プレートにぶつかるような形で下へと潜り込んでいきます。そのとき、太平洋プレート側が圧力によって少し膨らみが出てくるんです。これがアウターライズです。今回の地震によって、太平洋プレートがずるっと北米プレートの下へと滑りこんでしまいました。そのためアウターライズがひっぱられ、そこに断層が起きて、地震が起きやすくなっているんです」
揺れによる被害は少ないと考えられるが、震源地が沖合となるため、再び津波の危険が考えられるという。
「今回の地震と同じ規模だった2004年のスマトラ島沖地震では、3か月後にM8クラスのアウターライズ地震が起きています。アウターライズ地震では場所によっては10m級の津波が起こる可能性があるので、最低でも3か月は警戒する必要があるでしょう」(前出・木村教授)
先の津波により、すでに防潮堤や防潮林などが破壊されている地域は多い。地震から1か月が過ぎ、避難所から自宅へと戻る人も多いだろうが、いつでも避難できるよう警戒すべきだという。
※女性セブン2011年5月5日号