ライフ

震災直後の仙台 露店ではキャベツ1玉800円、充電300円

 震災後、暴動や掠奪も起こらず、お互いを労り合う日本人の姿が世界から称賛されたことは記憶に新しい。被災地では今も、助け合う姿が多く見られる。ところが、一方で被災地の電線を盗んだ元プロ野球選手が逮捕されるなど、混乱に乗じて不見識なことをする「残念な人々」もいる。被災現地から報告する。

 需要が供給を上回ると値段が上がるのは市場原理だが、ズル賢い連中はそれを利用して一儲け企む。仙台市内でまつげエクステサロンを営む熊谷綾子さんが嘆息して語る。

「震災の約1週間後、壊れたコインパーキングに軽トラックが何台かやってきて、露店が並ぶようになりました。その値段が法外なんです。

 キャベツ1玉800円、カボチャ1個700円。お米は1kg1000円で売られているのを見ました。今後もこの土地で商売をするならあくどいことはできませんが、県外から一時的に売りに来ているなら“売り逃げ”できますからね……」

 他にも仙台市内では、白菜が1玉1000円になっていたり、携帯電話を充電させるのに「1回300円」取る業者もいたという。

 東北地方ではガソリン不足が深刻で、スタンドに並ぶ車の列が繰り返し報じられたが、ここでも“高騰”が起きていた。宮城県栗原市内のスタンドでは、地震の直後からガソリンが「リッター200円」になったという。

 県内の石油商業組合関係者は、「釣り銭がなく、手動の給油で人手がかかったからリッター200円で5リットル」単位の販売にしたらしいが、他のスタンドは厳しくても頑張っている。暴利だ」と指摘する。

 また、青森県南部では、「ガソリン11リットル2000円」、つまりリッター181円で売られていたという。仕入れ価格が上がったという事情はあるだろうが、県内では平均で150円台。困った時に大幅値上げしたことを、住民は忘れないだろう。

 生活必需品などをネットオークションで販売して儲けた人もいる。実際に落札された価格はこんな感じだった。
 
・単一乾電池×10本 1万円 (通常時、量販店やスーパーなら約2000円)
 ・水2リットル×6本 4980円 (同約800円)
 ・大人用紙おむつ2パック 1万9500円(同約3000円)

 店頭で買い占めをしていた人たちが、ネットで転売して小遣い稼ぎをしていた可能性が高い。

 オークションは買いたい人が多いほど値段が吊り上がるから、この価格形成には需要サイドの事情も大きいが、こうしたネットオークションの落札結果を見た輩が「単二乾電池×4本 1万円」「水2リットル 2000円」などというベラボーな値段でオークションを開始していたことも付記しておく。

※SAPIO2011年5月4日・11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン