湾岸地区に立ち並ぶ超高層マンションといえば、これまでなら庶民の憧れの存在。しかし先の震災では、湾岸地区を中心に液状化被害が相次ぎ、停電でエレベーターが止まって自宅に帰れない住民も続出した。高層マンション神話が崩れ去ったいま、不動産会社はどのように高層マンションを売りさばくのか? 来月から「超高層・湾岸地区・オール電化」という、いわば“三重苦”のタワーマンションの販売を開始する不動産会社の30代男性社員はこう話す。
「これまでなら、“超高層”は『眺望』『共用施設の充実』『ステータス』、“湾岸地区”は、『計画開発による商業・公営施設の充実』、“オール電化”は『最新鋭技術の導入』と、全てが“売り”だった。それが一夜にしてマイナスポイントになっちゃったんだから、それはびっくりです」
――まず“超高層”については?
「恐らく一番の心配のタネはエレベーターでしょう。タワーマンションには必ず非常用エレベーターが設置されていて、そちらは今回の地震でも比較的早く復旧しました。ただ、停電してしまえばエレベーターは止まってしまいますが」
――“湾岸地区”ということで、液状化対策などについては?
「これに関しては…ウソや根拠の無いことは言えないんでね(苦笑)。ただ今回、首都圏で被害の大きかった新浦安でも、ウチの物件は問題が無かったんで、セールスポイントとしてはそのぐらいですかね」
――オール電化に関しては?
「これは自信を持って言えることなんですが、電機は基本的に災害に強いんです。震災時に復旧するインフラの順番は必ず『電気→水→ガス』。阪神大震災の時もガスが最後だったし、今の仙台市内もその順番です」
しかし、こうしたセールストークにもかかわらず、オール電化の物件は避けられてしまうそうだ。