素人は行っても邪魔なんじゃないか。1日だけじゃ何もできないのでは。そう自問自答しながら向った被災地――。本誌記者(29・男性)が震災ボランティアを体験した。
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約6000世帯が水害に遭った多賀城市では、3月16日にVC(ボランティアセンター)が立ち上がった。毎日200名近くが集結するボランティアの半数は県外からの参加という。
ボランティアの受付は午前9時からテントで始まったが、10分前にはすでに長蛇の列ができていた。4対1の比率で男性が多い。20~30代が多いが、10代や40代とおぼしき人たちも。初老の女性の姿もある。
希望者は参加経験、居住地によって4つの列に分類された。記者が並んだのは、初めてボランティアをしに来た宮城県外の人が並ぶ「新規県外」の列。ほかに「継続県外」「新規県内」「継続県内」があった。「県内」の2列が長いが、「継続県外」も同じくらい多い。
10分後に記者の順番が来た。受付の人がさっと説明する。
「ボランティアのかたは、けがなどに備え保険にはいる必要があります。ここに住所、氏名、連絡先、参加日数を書いてください」
いわれるままに記入し、670円払って1年間有効のボランティア保険に加入した。その後、ガムテープに「名前」を書き込んで肩に貼ると、
「じゃあ建物の2階でいすに座って待っていてください。その部屋で、被災者からのボランティア要請に対し誰を何人派遣するか、スタッフが決めます」
ボランティアの仕事内容って自分で選ぶんじゃないんだ、何をすることになるんだろうと、緊張した。待つ間、登録時に配られたボランティアの心得を一読した。
<「させていただく!」の精神で活動しましょう!>
<トイレの利用をお願いしてください>
<裸足が危険な屋内は、土足での入室を確認してください>
9時30分、記者を含めた男性3名と女性4名の計7名が呼ばれた。記者と40代男性のみが県外からの参加者だった。この7人があたる仕事内容が、VCの女性スタッフから告げられた。
「センター近くの、橋本さん(仮名)の家で、水害に遭った食器棚とタンスなどの家具を家の外に出してほしいとのことです。道具はほとんど必要なく、軍手と長靴があればよいと思います」
※女性セブン2011年5月5日号