国内

震災ボランティアの心得「させていただく」の精神で活動せよ

 素人は行っても邪魔なんじゃないか。1日だけじゃ何もできないのでは。そう自問自答しながら向った被災地――。本誌記者(29・男性)が震災ボランティアを体験した。

 * * *
 約6000世帯が水害に遭った多賀城市では、3月16日にVC(ボランティアセンター)が立ち上がった。毎日200名近くが集結するボランティアの半数は県外からの参加という。

 ボランティアの受付は午前9時からテントで始まったが、10分前にはすでに長蛇の列ができていた。4対1の比率で男性が多い。20~30代が多いが、10代や40代とおぼしき人たちも。初老の女性の姿もある。

 希望者は参加経験、居住地によって4つの列に分類された。記者が並んだのは、初めてボランティアをしに来た宮城県外の人が並ぶ「新規県外」の列。ほかに「継続県外」「新規県内」「継続県内」があった。「県内」の2列が長いが、「継続県外」も同じくらい多い。

 10分後に記者の順番が来た。受付の人がさっと説明する。

「ボランティアのかたは、けがなどに備え保険にはいる必要があります。ここに住所、氏名、連絡先、参加日数を書いてください」

 いわれるままに記入し、670円払って1年間有効のボランティア保険に加入した。その後、ガムテープに「名前」を書き込んで肩に貼ると、

「じゃあ建物の2階でいすに座って待っていてください。その部屋で、被災者からのボランティア要請に対し誰を何人派遣するか、スタッフが決めます」

 ボランティアの仕事内容って自分で選ぶんじゃないんだ、何をすることになるんだろうと、緊張した。待つ間、登録時に配られたボランティアの心得を一読した。

<「させていただく!」の精神で活動しましょう!>

<トイレの利用をお願いしてください>

<裸足が危険な屋内は、土足での入室を確認してください>

 9時30分、記者を含めた男性3名と女性4名の計7名が呼ばれた。記者と40代男性のみが県外からの参加者だった。この7人があたる仕事内容が、VCの女性スタッフから告げられた。

「センター近くの、橋本さん(仮名)の家で、水害に遭った食器棚とタンスなどの家具を家の外に出してほしいとのことです。道具はほとんど必要なく、軍手と長靴があればよいと思います」

※女性セブン2011年5月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン