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鬼姑 臨月の嫁の頭を通夜の席で床に押し付ける その後流産

 嫁姑の争いはいつの時代にあるもので、姑が入信している新興宗教に入信しない嫁に姑は激怒。「お前は家事をしない!」などともなじる姑と「私は家事しているのに……」と平行線の議論が絶えぬ二人の話です。大姑、姑から虐げられていた嫁のS子さん(32才)から伺いました。(女性セブン1988年1月1日号より)

 * * *
 そんな折、私は妊娠しました。これで、姑も少し変わるかもしれない。淡い期待もあって、天にも昇る気持ちでした。ところがです。入信しない嫁の子は“鬼っ子”だといって姑は喜ぶそぶりもありません。それどころか、身重の私をいっそうこき使うのです。

 つっかえそうになったおなかを気にしながらの床みがき、高い踏み台にのっての天井そうじ。以前にくらべて外出をひかえてまで、“いびり”に専念にしているようなものでした。

 それは、嫁憎さで流産を図ったとしか考えようがありませんでした。私は、それこそ必死になって、わが身を守りました。そして、臨月も間近という日、大姑は肺炎をこじらせて、ほんとうにあっけなく亡くなってしまったのです。

 正直にいって、私はほっとしました。カニばさみのように責められていた一方のはさみがポキッと折れたのですから。そんな私とちがって、姑はもの入りだといって不機嫌でした。お通夜の席で、「おまえが、そねえふんぞり返っておられるご身分かい!」

 といいがかりをつけ、おなかを突き出してすわるしかない私の首筋をつかむと、姑は、私の頭をむりやり床に押しつけたのです。おなかをかばうまもありませんでした。

「痛いッ!」

 押さえつけられた衝撃で、こともあろうに、突然、陣痛が始まったのです。救急車で産院に運ばれ、緊急の帝王切開手術。もちろん早産でした。妊娠中の無理がたたったのか、異常な出産が原因なのか、赤ん坊は、生まれてわずか12時間で死んでしまいました。

 つかのまの喜びのあとの、深い深い悲しみ。涙が枯れ果てるまで泣き続けました。

 あれから3か月。姑とは、主人を通してしか、話をしていません。あのことをどう思っているのか、私はよく知りません。ただ、あれほど拒み続けた入信を、いまやってみようかと思っています。私は地獄に堕ちてもかまいません。ひきかえに、姑に天罰がくだるように、お願いをしようと思っているのです。

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