思い通りの髪型にならず、「こんなはずでは…」という思いを抱きながら美容院を後にしたことがある人は多いだろう。
客が仕上がりに「ちょっと微妙…」と思っているとき、美容師はどう思っているのか? 髪型が不満で、怒鳴りこまれた経験のある美容師が、そのときのエピソードをこう語る。(女性セブン1988年4月14日号より)
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「こんな頭になっちゃって、どうしてくれるのよ!」
どなりこんできたお客さんの頭を見ると、部分パーマの前髪が見事に“サザエさん”の三段山になっている。
もとはといえば、私の失敗。パーマがかかりやすいかたに、かかりにくい人用のパーマ液を使ってしまったんですよ。
通常の時間をおいてロッドをはずしたら、もうチリチリ! ヤバイなと思いながら、ミスは隠して、チリチリのトサカをドライヤーでギューギュー伸ばしてごまかして帰しちゃった。
その2日後、また、お客さんがどなりこんできたってわけ。
それでも、弱みは見せられず、「失礼ですが、お客さま、先日は体調が悪かったんじゃございませんか。パーマというのは、体調によってかなりかかり具合が変わってくるんですよね。そういうときは、パーマはひかえていただかないと」
そのお客さん、どうやら帰ったけど、ごまかしちゃって、ごめんなさい!