子どもがいなくて犬を飼う人はいる。なかには、可愛がるあまり、犬自慢をする人も。道で会うたびに、隣に住むK子さんの犬自慢をたっぷり聞かされていたのがSさん(30才)だ。
しかし、ある事件をきっかけに、Sさんは、K子さんを道で見ても知らんぷりをきめこんでいる。(女性セブン1988年5月12・19日号より)
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「うちの子はね、あんなに小さいのに、やきもちを焼くのよぉ」
「うちのハルったらね、私の話していること、全部わかるの」
4才と1才の子持ちのSさんは、「子供がいなくて寂しいのね」と同情して、1時間の立ち話にもがまんをしてきた。「なのに、あんなことをされて、本当に悔しい」と、Sさんは声をふるわせる。
さんざん犬の話をしたあとで、Sさんの1才の娘を見たK子さんは、その場にすわりこんで、「子供ってみんなかわいいわねえ」と目を細めたのだ。
そして、右手を出し、ニッコリ笑うと、「お手。はい、お手しましょうね」といったのだという。