ソフトバンク社長・孫正義氏の「志」に迫った本誌連載『あんぽん孫正義伝』。連載終了と同時に日本を国難が襲った。孫氏は次々と被災者支援を打ち出す。以下は、『あんぽん』筆者の佐野眞一氏(ノンフィクション作家)が孫氏の父親について聞いた内容である。
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――実は『あんぽん』の連載が終わって、孫さんのお父さんから「ありがとうございます」と手紙をいただいたんです。そこに『正義は経営者として器量の大きさを実行しなければ本当の男にはなれません』とあるんですよ。なかなか素敵なお父さんだなと改めて思いました。その手紙をもらって間もなく、被災者への義捐金として孫さんの100億円寄付が報じられました。お父さんは寄付について何か言っていましたか。
「私の寄付のことは勘弁してください。ただ、親父は電話でまっさきに喜んでましたよ。いいことしたなって。後でふと思いましたが、僕がまだ小学生のとき、兄貴と一緒に障害者の施設につれていかれたことがあるんです。そこで親父が何か寄付をして、手助けをしていた。やっぱり、子どものときのそういう経験って、潜在意識のなかに入っていますよね。当時は親父だってまだ貧しかったですよ。だから、親父も貧しいなかでも精一杯自分のできる範囲でしていたということを、親父から電話がきた直後に、ふと思い起こしました」
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号