福島第一原発の解体・廃炉費用は実際いくら必要になるのか。
1兆円規模の資金が必要になるといった専門家の指摘もあるが、ビジネスやファイナンス情報で人気のメールマガジン『週刊isologue』の執筆者で、公認会計士の磯崎哲也氏はこう分析する。
「2011年3月期から会計ルール上、福島第一原発の帳簿価額には、『資産除去債務』として解体・廃炉にかかる費用も含まれています。
価額の半分が廃炉費用、さらに放射能汚染で作業費が2倍かかると見積もっても、2000億円程度のコストで済むと考えられます。実際にもっと支払うことになったとしても、廃炉は10年単位の長期にわたるので、将来必要になる分は金利分を割り引いて計上される。その分、金額は小さくなります」
磯崎氏は、むしろ福島第一の事故が東電管内の他の原発に与える影響を考える必要があると指摘する。
「もし反原発の動きが広がり、今後、福島第二と柏崎刈羽の操業を縮小せざるをえなくなったとします。減損によって資産価値が半分になるとすれば、2400億円程度の損失が発生すると想定されます」
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号