被災地の白衣の天使は白いウインドブレーカーに黒いジャージ、足下はスニーカーの装いで溌剌と動き回っていた。避難所で生活する70代のお年寄りがいう。
「彼女たちがきてくれたおかげで助かった。それまでは汚くて、とても人が住める環境じゃなかった。皆、心がギスギスして些細な口論が絶えませんでした」
被害が甚大な宮城県石巻市を中心に、看護師資格を持つボランティア団体「キャンナス」が奮闘している。震災1週間後から活動を始め、20歳の学生から50代OBまで、参加した看護師は計108人に上るという。
「ネットの募集を知って参加しました。今日で2週間。お風呂に入ったのは2回だけど慣れたわ。おかげで髪の毛に砂が混じって大変だけど(笑い)」(30代看護師)
「夜は音楽室に雑魚寝。寒いけど、それは避難民も一緒。むしろ東京に戻れば普通の生活が送れるのが申し訳なくて」(20代看護師)
トイレ掃除、お年寄りとのコミュニケーション、血圧測定。“震災関連死”を少しでもなくそうと、泊まり込みで献身的看護を続ける。
キャンナス代表の菅原由美さんが語った。
「医療チームの多くは5月の連休を目処に撤退を予定していると聞きました。でも、お年寄りたちは我慢強いので本当に辛くなるまで顔に出さない。そのためSOSが見過ごされがちです。まだまだ現場の助けは、必要とされています」
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号