首都圏のマンション価格は今後どうように動くのか、それを踏まえて、どうようなタイミングで買うべきなのか、東京カンテイ市場調査部任研究員の井出武氏が分析する。
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2011年はマンション購入の非常に有利なタイミングであることは間違いない。首都圏の新築マンションは供給数・価格ともに買いやすい環境になってきており、中古マンションも価格調整に入ると考えられるからだ。
そして、住宅ローンの金利が低水準で推移していること、住宅ローン減税、贈与税の非課税枠の拡大、という金利・税制面の「外付け3点セット」が利用できることが、資金面で強力な後押しとなる。後者の2つについて、簡単に説明しておこう。
住宅ローン減税とは、入居から10年間にわたり、年末の住宅ローン残高の1%が、所得税などから還付される制度。対象となる住宅ローン残高の上限は、2011年は4000万円(一般住宅の場合)。
上限いっぱいまで控除を受けた場合、毎年40万円、10年間で最大400万円の税金が戻る計算となる。これは、ローン金利が0.8%下がるのと同等の効果がある。借入額が多い場合は、今年中に入居すれば最もお得となる。
また、2011年は、親や祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合、1000万円まで贈与税が非課税になる特例が利用できる。贈与税の基礎控除110万円と合わせて、1110万円まで贈与税が非課税となる。
この特例とは別に、「相続時精算課税制度」も利用できる。これは、特定の親からの生前贈与(用途は問わない)が2500万円まで贈与税非課税となり、将来の相続時に贈与額を相続財産に加算して、相続税で精算するというもの。精算課税制度は、住宅取得資金の贈与特例と併用でき、2つを併用すれば最大3500万円まで贈与税がかからない。親からの資金援助が期待できるならば、節税対策として非常に有効だ。
景気の先行きが不透明という不安材料はあるものの、マンションの買いどきを探っていた人や、資金計画が立てられる人には、今年が格好の買いどきだ。新築マンションは今年前半が、中古は今年後半が、特に狙い目のタイミングになるだろう。
※マネーポスト2011年5月号