日本株の約6割は外国人投資家が保有しているが、なかでも最近、存在感を増しているのが、「チャイナマネー」である。なぜチャイナマネーが日本市場に流入しているのか、『中国株「黄金の10年」』などの著書がある、TS・チャイナ・リサーチ代表の田代尚機氏が解説する。
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日本市場へのチャイナマネー流入を後押ししているのは、中国の「カネ余り」である。
貿易収支の黒字や海外からの直接投資などが相変わらずプラスで推移するほか、人民元上昇期待や経済発展への期待の高まりを背景に、いわゆる地下ルートからの資金流入も相次いでいる。インフレ懸念から当局がいくら金融引き締めを行なっても、むしろ金利上昇を見越してさらに海外マネーが流れ込む格好なのだ。その一方で、中国から海外への投資は、一部の政府が認める機関投資家(QDII・適確国内機関投資家)に限られてしまうため、次から次へと中国に資金が流れ込む構造に当面変わりはないだろう。
実際、こうしたカネ余り現象を背景に外貨準備高は上昇の一途を辿り、いまや3兆ドルに迫る勢いである。
こうした資金の一部は、中国の政府系ファンド・CIC(中国投資)が海外投資する際の原資となっていることに加え、人民元の国際化を進めるために、中国では「走出去」と呼ばれる海外企業へのM&A(合併・買収)も積極的に進められている。たとえばレナウンやラオックスといった日本企業の買収はその一環であり、最近でも中国の飲料大手・杭州娃哈哈(ワハハ)集団が日本のヨーグルトメーカーに食指を伸ばしていることが報じられている。
中国のさらなる成長のためには海外、特に日本が誇る技術力が必要となるため、現状通りのCICによる日本への純投資が増えるのはもちろん、そのような買収目的の投資も進むと見て間違いないだろう。
※マネーポスト2011年5月号