大きな総合病院となれば、それなりに経費もかかるもの。いい医療をしようとすればなおさらだ。病院経営の涙ぐましい努力を、元病院勤務の3人が語り合った。(女性セブン1988年3月10日号より)
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A:私が勤めてた大阪の病院も徹底してたわね。経営者っていうのが、父親を病気で早く亡くして、ビンボーだったから、病気になっても病院に行けなかったんだって。
そのうらみで、医者にはなれなかったけど、お金を貯めて、全国に十数か所も病院つくったんだって。
B:へぇ~、偉いじゃないの。
A:ところが、そうじゃないの。いくら大きな総合病院をつくったって、いい医師をそろえられなきゃ、いい医療はできないわ。うちの病院は、“やぶ”で評判だったのよ。経費を安くあげるためでしょうね、ろくな医者はいなかったもの。
救急車で運ばれる途中の患者さんが、「あそこの病院だけはやめてくれ、殺される」って、救急車の中で頼んだんですって! それでも十数軒の病院がつぶれずにいるのは、お金持ちの患者さんからガッポリ取りあげてるのと、ケチのせいよ。
ロッカーなんて中古でボロボロだし、職員用のトイレには、ペーパーも石けんもないの!
C:これは話したくないんだけど、うちの病院は、残飯を出しちゃったことがあるのよ。
A・B:え~っ?
C:患者さんの間に“前の日のお肉の炒めものを次の日のシチューに使ってた”というウワサが広まったの。私は、残飯はブタのえさにする業者にまわしているから大丈夫だと否定したわ。
ところが、あとで調理室できいたら、アルバイトの子が本当に残飯を入れちゃったんですって。“間違って”というけど、本当はどうだか。
だって“経費節減”のせいで、シチューっていっても、いつもジョボジョボで、キャベツの芯しかはいってないようなものなんだもの。とにかくきたならしくて、とても食べる気がしないわよ。
A:ごまかしてお金をもうける手はいくらでもあるものね。