夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回の報告は、飲料メーカー勤務のご主人(38歳)。奥様(38歳)と女の子ふたりの4人家族です。
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僕がいない時は女3人なので不安なようです。「庭から泥棒に入られたら怖いわ」という妻の提案で、庭に犬小屋を建て、シベリアンハスキーを飼うことになりました。
僕は正直いって、犬はあまり好きじゃなかったんですけど、シベリアンハスキーは体がでかいし、面構えも精悍で、「これなら家族の安全を守ってくれる」と安心しました。エサやりと散歩は妻と娘の役目なんですが、すごくいい犬で、何の面倒も見ない僕に対しても尻尾を振ってじゃれてきます。ところが……。
ある日帰宅すると、妻が「アナタ、聞いてよ!」とえらい剣幕で、「散歩に連れていくと、誰にでもすり寄っていくし、『人懐っこいですね』といわれて嬉しがってたんだけど、まさか不審者に対してもそうだとは思わなかったわ!」。
昼間、妻が庭を見ると、見知らぬ男が入ってきて、愛犬はというと、吠えるどころか頭を撫でられ尻尾を振り振り、甘えていたそう。その男は妻の姿を見て、慌てて逃げ出したそうですが、「見損なったわ! あれじゃ、何の役にも立たないじゃない。私、もう面倒なんて見ないからね。散歩? アナタが早起きして連れていけばいいじゃない!」だって。
あのなァ、15万円も出してペットショップで買ったのはキミだよ! オレ、犬よりもキミのほうを見損なったよ!
※週刊ポスト2011年5月6日・13日号