FX(外国為替証拠金取引)投資家に人気の高い、オーストラリア(豪)ドル。高金利の資源国通貨として知られるが、「世界景気連動通貨」としての側面もある。外為どっとコム総研・代表取締役社長・主席研究員の植野大作氏が、豪ドルの変動要因について解説する。
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豪ドルは世界全体の為替売買の3.8%を占める取引量5位の通貨です。豪州は農畜産物、エネルギー、金属鉱など、多様な資源の輸出大国であると同時に、期待成長率の高さなどから金利が高いという特徴があります。
このため、豪ドルは、【1】資源輸出国の通貨として資源価格に連動し易い、【2】高金利国の通貨として金利の動きに敏感、【3】中小規模の通貨としてグローバルな投資家心理に左右され易い、という特徴を持っています。資源価格、豪州金利、投資家心理の3変数はいずれも世界景気の好況期に上向く一方、不況期には低迷することから、豪ドルは世界総合株価指数の動きに象徴されるグローバルな景況感の強弱に反応してダイナミックに上下する傾向があります。
地理的にみると、豪州は北半球の国々から離れた南太平洋上に浮かぶ大陸国であり、昔からG5やG7といった先進国、いわば「通貨マフィア」の身内ではありませんでした。このため、豪ドル相場には地政学的な雑音が入りにくく、「世界景気連動通貨」という本来の特徴が素直に表われ易いといわれています。
※マネーポスト2011年5月号