ソウルオリンピックの応援歌を作曲したり、『芸能界踏んだり蹴ったり』(はまの出版刊)という本を出して話題のダン池田さん(元ニューブリード指揮者)が、芸能界に存在する見栄や嫉妬の現状について次のように話してくれた。(女性セブン1988年9月29日号より)
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芸能人同士の“見栄”と“嫉妬”は表裏一体ですよ。典型的な“見栄”は、忙しぶること。タレントはよく新幹線のグリーン車を使いますが、乗ったときに、派手なサングラスをかけて、めだつファッションをしていながら、毛布をかけたりして、寝たふりをしているんです。
“私はスケジュールがきついので、寸暇を惜しんで眠っています”と態度に表すわけですが、現実には寝てませんよ。“平均睡眠時間は3~4時間”なんて、なにくわぬ顔でインタビューに答えているのも“見栄”の典型。そんなに忙しいわけありませんよ。
次に楽屋の鏡争い。大部屋の楽屋では、入り口から奥に行くほどタレントのクラスが上位ですから、女性タレントはみんな、奥の鏡で長い時間、化粧したがりますね。
かといって、早めに楽屋入りすれば、暇そうに思われるというライバル意識があって、つねに駆け引きで動いている世界ですよ。
あと、テレビの歌番組での衣装争いが、見栄と嫉妬の頂点でしょう。NHKの『紅白』なんかだと、3000万だ、5000万だと、マスコミを通じてぶちあげますね。各タレントとも、当日まで極秘ですよ。
当日、デザインでも値段でもライバルに勝った、という雰囲気があれば、女性タレントは大満足です。しかし負けた方は“デザインでは負けたが、歌では勝った”と、嫉妬心を隠そうと必死になるのが、女性タレントの実態なのです。
女性タレントは、お客さんのことをあまり考えていませんよね。いかに自分の見栄を満足させるか、なんです。タレント同士の結婚式で、費用何億円などと発表するのも、見栄ですよ。オーバー評価で、自己満足するだけ。
ライバルタレントと比較して、雑誌に掲載される回数が少ないと、嫉妬して、マネージャーに文句をいいますよ。そして、お付きの人数が少ないと、嫉妬して、所属事務所に文句をいうようです。
ディレクターに“オハヨウ”といわれたのか“オハヨウ、ゴクロウサン”といわれたかで、ゴクロウサンのないタレントは、不機嫌になるんですよ。自分中心のタレントが多くって、芸能界も困ったものです。