体育館で人気歌手が熱唱する姿に目を輝かせる子供たち。屋外の炊き出し会場では、お年寄りが大俳優の作る豚汁を頬張っている。
テレビで連日流されるのが被災地を慰問する芸能人の姿である。道路が復旧した4月以降、石原軍団、EXILE、八代亜紀、和田アキ子など豪華面々が、ボランティアや炊き出し、慰問活動に勤しんでいる。避難所生活を営む人々にとって彼らの志は、大きな励みとなっているだろう。
だが、一方でこんな声もある。宮城県石巻市の避難住民が声を潜めながらいう。
「タレントが訪れて炊き出しをしてくれた。スターと触れあえるなんて一生の思い出ですよ。でもね、会場近くには路上駐車がいっぱい。大渋滞になって、買い物や本当に必要な物資を運ぶのに苦労したんです」
渋滞に拍車をかけたのが、明らかに被災者ではない追っかけの存在だ。わざわざ関西からきたファンもいて、
「これじゃ、非常時に緊急車両も自衛隊も通れない」
「お祭りじゃないんだ」
と憤る住民もいたという。
※週刊ポスト2011年5月20日号