テレビでは連日、被災地を訪問する芸能人の姿が流されている。だが、その中には被災者が置かれた状況や感情を考慮しきれていないケースもあるようだ。福島県相馬市の住民が語った。
「女性タレントが慰問に来てくれたとき。原発40km圏内ということを強調する随行レポーターに、『放射能は怖いけど、少しの間(支援物資を)持っていくだけなら大丈夫だと思って来ました』と殊勝な顔で答えていた。
私は震災直後からここにいます。“ずっといると大丈夫じゃない”場所に来てくれたタレントに、感謝しなくちゃいけないのかと。複雑な気持ちです」
東北で取材を続けるジャーナリストは、岩手県の大槌町で若手芸人がコスプレ姿で炊き出しする姿に閉口したという。
「名前を売る意図が見え隠れしていた。公式サイトでファンやマスコミ向けの告知までしているタレントすらいる。一体、誰のための炊き出しなんでしょうか」
慰問の大半は善意に基づく活動だろう。ただ、それが本当に「被災地のため」になっているか――。今後の戒めとしてもらいたい。
※週刊ポスト2011年5月20日号