3・11東日本大震災の発生後、東京電力や政府や原子力村の学者達は「想定外の天災による事故だった」と語った。本当だろうか。そう疑問を呈するのは、ベストセラー『がんばらない』著者で、チェルノブイリの子供たちへの医療支援にも取り組む、鎌田實氏だ。
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関東の電力を供給するのに、なぜ原発を福島に作るのか。それは事故がありうるからだろう。東京に原発を作って、ひとたび事故が起これば、首都機能は壊滅する。だから作らない。事故が起きうることは想定内なのだ。
25年前、チェルノブイリ原発が炉心爆発を起こした。ぼくは94回医師団を送って救援しながらチェルノブイリを見てきた。今も原発から200キロも離れていて高汚染が続いている地域がある。原発の傷は想像以上に深い。
福島原発での事故はチェルノブイリと同じレベル7になった。ということは、25年に1度、原発の大事故が起きる可能性があるということだ。日本の原発は安全と、原発を推進してきた科学者や政治家は言い続けてきた。100%大丈夫な技術などありえないはず。
日本にあるすべての原発を調査してみるといい。外部電源と非常用電源等、原発で何か起きたときの追加電源の容量は明らかに不足している。そこらじゅうの原発で、ひとたび事故が起きれば、炉心を冷却できない恐れがある。それなのに日本の原発は安全だという神話がまかり通ってきたのである。
※週刊ポスト2011年5月20日号