国内

飛び降り自殺急増の横浜ベイブリッジ「取材はお断り」

 平成22年度の自殺者数、3万1690人。現在発表されている東日本大震災の犠牲者を上回る。自殺について作家の山藤章一郎氏がレポートする。

 * * *
「飛び降り自殺急増 横浜ベイブリッジ」

 この2~3年、ニュースのサイトに現れる自殺の新名所である。

 ブリッジを管轄する神奈川県警山手署、首都高管理局、海上を管轄する横浜水上署。いずれも、自殺の新しい名所として騒がれることを警戒する。

「取材はお断りしています。飛び降りの数字も公表していません。頻繁に通る大型船のスクリューが遺体を巻き込んでぶった切る。いい死に方じゃありません」

 したがって急増とまでいえるかどうかも、件数も不明である。しかし、サイトはこんな現実を報告している。

「ベイブリッジの路側帯に不審な車が駐車してます」通報で県警高速隊が駆けつける。ところが、車にも路面にも人がいない。高さ1.1メートルの防護柵を跳び越えたか。

 連絡を継がれた水上署が橋下の海中を捜索する。男性の遺体が揚がってきた。防護柵に手の痕も残っていて、自殺と断定された。

 タクシーでやってきて、ダイブした50過ぎのネクタイもいた。

 ブリッジ上で「ちょっと気持ち悪くなった」と運転手に声をかけて降ろしてもらい、いきなりガードレールを跳び越えた。

 橋の長さは860メートル、二層式で上層は首都高湾岸線、下層を国道357号線が走る。上層から海面までは15階建てビルほどの55メートル。下層の国道は路側帯が狭く、車は停められない。みな上層の湾岸線から跳びおりる。

 タクシーの客は開いた後部のドアから外に出て、するっとガードレールにあがった。一瞬、車の中の運転手に振り返って微笑み、唇を動かした。

「おい、なにしてる?」運転手は驚きに小突かれて、声をあげた。ガードレールにあがった男は闇の海を覗きこみ、足と手を小刻みに移動させためらいを見せている。また振り返って唇を動かした。

 運転手に今度は、「バイバイ」といっているのが分かった。「なんだ、待て。待て」

 運転手はあわててドアを開けた。路面に足を降ろして振り返った。男は消えていた。

※週刊ポスト2011年5月20日号

関連記事

トピックス

中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
フジテレビが今やるべきは、新番組『怒っていいとも!』を作ることではないか
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
ゴールデンタイムでの地上波冠番組がスタートするSixTONES
ゴールデンタイムで冠番組スタートのSixTONES メンバー個々のキャラが確立、あらゆるジャンルで高評価…「国民的グループ」へと開花する春
女性セブン
中居正広氏とフジテレビ社屋(時事通信フォト)
【被害女性Aさん フジ問題で独占告白】「理不尽な思いをしている方がたくさん…」彼女はいま何を思い、何を求めるのか
週刊ポスト
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《食道がん公表のとんねるず・石橋貴明(63)》社長と所属女優として沈黙貫く元妻の鈴木保奈美との距離感、長女との確執乗り越え…「初孫抱いて見せていた笑顔」
NEWSポストセブン
生活を“ふつう”に送りたいだけなのに(写真/イメージマート)
【パニックで頬を何度も殴り…】発達障害の女子高生に「生徒や教員の安心が確保できない」と自主退学を勧告、《合理的配慮》の限界とは
NEWSポストセブン
5人での再始動にファンからは歓喜の声が上がった
《RIP SLYMEが5人で再始動》“雪解け”匂わすツーショット写真と、ファンを熱狂させた“フライング投稿”「ボタンのかけ違いがあった事に気付かされました」
NEWSポストセブン
ドナルド・トランプ米大統領によって実施されているさまざまな施策が、米国社会に大きな影響を与えている(AFP=時事)
「極度の肥満のため死刑を停止して」「執行の際に座骨神経痛が痛む」女性に性的暴行し殺害したマイケル・タンジ死刑囚(48)の“驚きの要望”《トランプ大統領就任で加速する死刑執行》
NEWSポストセブン
中居正広の私服姿(2020年)
《白髪姿の中居正広氏》性暴力認定の直前に訪問していた一級建築士事務所が請け負う「オフィスビル内装設計」の引退後
NEWSポストセブン
これまで以上にすぐ球場を出るようになったという大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平、“パパになる準備”は抜かりなし 産休制度を活用し真美子夫人の出産に立ち会いへ セレブ産院の育児講習会でおむつ替えや沐浴を猛特訓か
女性セブン
ネズミ混入トラブルを受けて24時間営業を取りやめに
《ゴキブリ・ネズミ問題で休業中》「すき家」24時間営業取りやめ 現役クルーが証言していた「こんなに汚かったのか」驚きの声
NEWSポストセブン
岡田結実
《女優・岡田結実(24)結婚発表》結婚相手は高身長の一般男性 変装なしの“ペアルックデート”で見せていた笑顔
NEWSポストセブン