おぐにあやこ氏は1966年大阪生まれ。元毎日新聞記者。夫の転勤を機に退社し、2007年夏より夫、小学生の息子と共にワシントンDC郊外に在住。著者に『ベイビーパッカーでいこう!』や週刊ポスト連載をまとめた『アメリカなう。』などがある。おぐに氏が、アメリカの「日本通」事情を解説する。
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中国にGDPで抜かれた頃だったか。「アメリカでは日本語を学ぶ学生が激減している。一方、中国語や韓国語の人気はものすごい」という話が広まった。
でも、アメリカの学生の間で三大人気のスペイン語、フランス語、ドイツ語に続くのは、今も実は、イタリア語、日本語、中国語だ。現在、全米約600校で6万人以上もの中高生が日本語を学んでいる。
その数は今も増えている。ただ、その増え方が、バブル時代ほどでないとか、中国語や韓国語の勢いにかなわない、ってだけの話なのだ。
中国語を学ぶ生徒の中には「これからの時代は中国語が有利よ!」などと親から説得されて選択する子も少なくない。ところが、日本語を学ぼうという生徒は、日本のアニメやマンガがホントに好きで、文化に興味があって、本人の意志で選ぶケースが多いんだって。
そりゃそーよね。アルファベットで習える外国語がゴロゴロしてるのに、わざわざ「ひらがな&カタカナ&漢字」の全部を覚えなきゃいけない日本語を選択する時点で、彼らはすでに相当な日本ファンなのだ。
※週刊ポスト2011年5月20日号
(「ニッポン あ・ちゃ・ちゃ」第144回から抜粋)