国内

政府が非公開にした福島第一原発3号機の惨状写真極秘入手

政府が非公開にした福島原発3号機の写真

写真は、4月中旬に東芝の部隊が福島第一原発を近接撮影し、官邸に提出したものだ。政府は「厳秘(厳重秘密)」とし、いまなお公開していないが、本誌『週刊ポスト』はあるルートを通じて入手した。

政府関係者は「新聞等では1号機と4号機の話ばかり書かれているが、実は一番深刻なのは3号機だ」という。

実際、3号機の惨状は目を覆うばかりだ。鉄骨はいびつに折れ曲がり、圧力容器の上蓋を開けるスタッドテンショナーも崩れている。重さ10トンの天井クレーンは4階に崩落し、燃料プールにダメージを与えた可能性もある。東電の大幹部は、事故現場を視察したとき、3号機を見て、言葉を失ったという。

これら未公開写真から新たにわかる事実はないか、日本システム安全研究所の吉岡律夫氏に鑑定を依頼した。吉岡氏は東芝勤務時代に原子炉12基の安全設計を担当したエキスパートだ。

なぜ3号機はこんな惨状を呈することになったのか。吉岡氏は、建屋の屋根自体は内部で圧力が高まったときに吹き飛ぶよう設計されたものだとした上で、こう指摘した。

「3号機の鉄骨が曲がったのは、水素の量が多く、大きな爆発になったからですが、4階の壁まで崩壊しているのは、燃料プールの燃料が高温になったからと考えられます」

3号機と同じ設計の4号機では、3階にあったディーゼル燃料が発火したが、燃料プール内の燃料棒が溶融し、1メートルのコンクリート壁で隔てた油が300度以上にまで熱せられたということ。3号機でも同様の事態が起きた可能性があるという。

「1号機の水素爆発と4号機の使用済み燃料の溶融が両方とも起きたような状態。この破壊規模から考えれば、燃料プールが損傷していたとしても不思議ではありません」(吉岡氏)

東電は4月17日に「冷温停止まで6~9か月かかる」との工程表を発表した。しかし、もし余震で燃料プールに亀裂が入り水が漏れ出すと、燃料が再び水から露出し、漏水で建屋内の汚染も深刻化する。政府はこの写真と事実を早急に公表すべきではないか。

※週刊ポスト2011年5月20日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

20年ぶりの万博で”桜”のリンクコーデを披露された天皇皇后両陛下(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
皇后雅子さまが大阪・関西万博の開幕日にご登場 20年ぶりの万博で見せられた晴れやかな笑顔と”桜”のリンクコーデ
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
《実兄が夜空の下で独白》騒動後に中居正広氏が送った“2言だけのメール文面”と、性暴力が認定された弟への“揺るぎない信頼”「趣味が合うんだよね、ヤンキーに憧れた世代だから」
NEWSポストセブン
高校時代の広末涼子。歌手デビューした年に紅白出場(1997年撮影)
《事故直前にヒロスエでーす》広末涼子さんに見られた“奇行”にフィフィが感じる「当時の“芸能界”という異常な環境」「世間から要請されたプレッシャー」
NEWSポストセブン
第三者委員会からハラスメント被害が蔓延していたと指摘されたフジテレビ(右・時事通信フォト)
《フジテレビの“あしき習慣”》古くからあった“女子アナ接待”の実態、仕切りは人気ドラマのプロデューサー スポーツ選手との関係構築のため“利用”するケースも
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下は秋篠宮ご夫妻とともに会場内を視察された(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA) 
《藤原紀香が出迎え》皇后雅子さま、大阪・関西万博をご視察 “アクティブ”イメージのブルーグレーのパンツススーツ姿 
NEWSポストセブン
マンジャロは腹部に注射する
《美容クリニックで流行》糖尿病治療薬を使った“GLP-1ダイエット”に専門医が警鐘「安全性が不明」「医療倫理的に問題ある」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
【独自】「弟がやったことだと思えない…」中居正広氏“最愛の実兄”が独白30分 中居氏が語っていた「僕はもう一回、2人の兄と両親の家族5人で住んでみたい」
NEWSポストセブン
2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新田恵利(左)と渡辺美奈代があの頃の思い出を振り返る
新田恵利×渡辺美奈代「おニャン子クラブ40周年」記念対談 新田「文化祭と体育祭を混ぜたような感覚でひたすら楽しかった」、渡辺「ツアーも修学旅行みたいなノリ」
週刊ポスト
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト