【書評】『ナニワ・モンスター』(海堂尊/新潮社/1680円)
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関西の一大経済圏である浪速府で、新型インフルエンザが発生。蔓延を防ぐために政府が取った封鎖策により、府は壊滅的な打撃を受ける。政策の急先鋒に立つのは、正体不明の医学部講師・本田苗子。その背後には、日本の医療と司法を巻き込む巨大な陰謀が隠されていた。浪速府知事の村雨弘毅は〈日本国からの合法的離脱を検討している〉という覚悟で危機の打開に臨むが、これを国家に対する反逆と見る権力の包囲網にさらされる……。
※週刊ポスト2011年5月20日号