いま日本人の3人にひとりは“痔”といわれている。女性専用の肛門クリニック・松島ランドマーククリニック院長の松村奈緒美さんはこう話す。
「女性に多いのは、便が硬くて肛門が切れる『裂肛』と、肛門のうっ血による『痔核』です。『痔核』は、肛門外側の『外痔核』と、奥の『内痔核』に分けられます。『内痔核』は痛みがないのが特徴。排便時に、痛くないのにトイレが血で真っ赤になり、驚いて受診するケースも。
『外痔核』は痛みがあり、触ってみると腫れていたという急性のものが多く、いずれもお酒や便秘・下痢、冷えなどで血流が悪くなることが主な原因です。そのほか、痒みがつらい皮膚炎や、まれに『肛門周囲膿瘍』という膿がたまる病気のことも」
そして、松村さんはこう続ける。
「女性の痔の原因の多くは、“便秘”が関係しています。とくに女性は、排卵後~月経前に分泌される黄体ホルモンによって自律神経のバランスが変化し、便秘がちに。便秘で硬いうんちを出すためにいきむことで肛門に負担がかかり、出血します。いつも同じところが切れるため、繰り返すとだんだん治りにくくなり、傷の部分が硬くなって肛門が狭くなり、排便しにくくなる悪循環に。また、妊娠で大きくなった子宮に圧迫されて肛門に負担がかかったり、授乳期は水分不足で便秘になるなど、妊娠出産を期に痔に悩む人は多いですね」
※女性セブン2011年5月26日号