4月、小泉チルドレンの元衆議院議員や羽柴秀吉氏ら4人の候補が立った北海道夕張市長選に勝利し、“日本一若い市長”として一躍有名になった鈴木直道さん(30)。
鈴木さんは1981年、埼玉県春日部市生まれ。小学1年生から同県三郷市で育った。子供のころは普通に大学を出て就職すると漠然と考えていたが、家庭の事情で未来予想図が一変した。
「高校生のときに両親が離婚し、経済的に苦しくなりました。姉は短大をやめて働くようになり、私も高校に通いながらアルバイトに明け暮れる毎日でした」(鈴木さん)
引っ越し業者や酒店、スーパーの仕出し、建設現場など複数のアルバイトをこなした。大学進学を諦め、東京都の採用試験を受験した。
「母子家庭になり、行政のいろいろな支援を受けるなかで行政サービスの大切さがわかったんです。学歴による差別がない人事システムも魅力的で東京都を選びました」(鈴木さん)
1999 年に入庁してから弱い立場の人を支えることが行政の根本と考え、福祉保健関連のセクションを希望した。社会人となっても大学進学を諦めきれず、翌年法政大学法学部の二部に入学。地方自治を学びながら体育会のボクシング部に入部し、都庁、大学、部活という三足のわらじ生活が始まった。
「入部すると単位が優遇されるから軽い気持ちでボクシングを始めたのですが、すごく面白くて講義以上にはまった(笑い)。仕事の後、18時半から21時半くらいまで講義を受け、23時まで部活。土日は朝から練習で休みがなく、忙しくて一度倒れたほどです」(鈴木さん)
猛練習で実力も上がり、国体東京都予選で準優勝。4年生では主将も務めた。20代前半はこうして、華奢な体に強靭さを蓄えていった。
※女性セブン2011年5月26日号