ユッケに付着した腸管出血性大腸菌O-111が4人の客の命を奪った、激安焼き肉チェーン店『焼肉酒家えびす』の集団食中毒事件。
食品汚染や環境問題に詳しいジャーナリストの郡司和夫さんは、ユッケだけでなく、最近ブームのホルモンにも警鐘を鳴らす。
「健康ブームなどで低カロリーだからと需要が高まっていますが、業界では牛も豚も内臓はホルモンと呼ぶため、格安のホルモン専門店は豚とは明記しないで販売していることが多いんです」
豚のホルモンは牛ホルモンに比べて危険度が高い。体温が人間に近く、牛以上に人間に感染する雑菌や病原菌を多く持っているためだ。また内臓肉はすぐに鮮度が落ちるため、それだけ細菌が増えやすい。
「現在はブームで絶対量が足りないので、いろいろな牛のさまざまな部位のホルモンが混在します。そのうえホルモンは枝肉とは別の流通経路をたどり、どこの牛の内臓かが特定しにくい。ホルモンを安全に食べるには、流通経路が明確な枝肉を仕入れている焼き肉店で食べるべきです」(郡司さん)
衛生面や流通面など、消費者は店の姿勢を信用するしかないのが現状。そんななか、どうやって外食での食中毒を防げばよいのか。国立感染症研究所感染症情報センター長・岡部信彦さんはいう。
「生肉や生レバーのリスクはゼロにできないので、基本的には避けるべきです。特に発症・重症化のリスクの高いお年寄りや子供には絶対に食べさせないこと。あえて食べるとすれば、価格と質は比例することを頭に入れて店を選ぶしかないでしょう」
※女性セブン2011年5月26日号