東日本大震災の復興のため、「復興構想会議」が立ち上げられた。しかし、その内容については過去の経験を踏まえ、注意が必要だと神戸大学工学部教授の塩崎賢明氏が指摘する。ここでは仮設住宅に関する提案だ。
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今回、政府の第1次補正予算で仮設住宅7万戸で3600億円の予算が計上された。仮設住宅は1戸につき300万~400万円で建設されるが、2年で取り壊されることになる。3600億円費やしても2年後には何も残らなくなるのだ。
被災者は避難所生活から1日も早く抜け出し、落ち着いた生活を取り戻したいと切実に願う。政府もメディアも早急な仮設住宅建設をと言い立てるが、復興の道は10年、15年と続くのである。先のことを見据えた時、できるだけ仮設住宅の戸数を減らし、自力仮設住宅を増改築して恒久的な住宅につなげていくプログラムの開発が必要なのではないか。
たとえば2007年の新潟県中越沖地震の被害を受けた柏崎市では、仮設住宅の恒久的使用という前例のない試みが行なわれた。自力仮設住宅は被災者の生きがい、やりがいにもつながり、町の活性化にもつながるのだ。
そのために仮設住宅に費やされる3600億円という巨費を、もっと柔軟な支援へと行きわたるようにすべきであろう。国は被災者が救われるためのあらゆる制度を活用し、また必要な新制度を速やかに創設しなければならない。
※SAPIO2011年5月25日号