昨今では形式化しつつある社長と会長の関係だが、パナソニックの中村邦夫会長-大坪文雄社長コンビの評価は高いという。
経済学者の長田貴仁氏が解説してくれた。
「二人とも性格と表現方法がまったく正反対。中村さんは口数が少なく社内に緊張感をもたらす。リストラや社名変更など構造改革を断行するのに相応しかった。
一方、大坪さんは聞き上手でコミュニケーションに長けている。改革から成長路線に舵を切る絶妙のタイミングでバトンタッチしました。二人とも意見をぶつけあうこともあるそうですが、根底には創業精神が根付いているから、決別することなく舵取りに成功できている」
シャープの町田勝彦会長-片山幹雄社長コンビも、不仲説が唱えられることもある。が、長田氏はいう。
「町田氏は国内で液晶テレビの拡大路線を、片山氏は太陽電池事業やグローバル展開をそれぞれ推進してきた。互いの成長戦略で対立していると報じられていますが、実際に確執があるわけではない。シャープは歴代社長の在任期間が10年を超える。社長は長期的視野で種播きをして、その成果を会長になってから摘むといった文化が根付いているんです」
※週刊ポスト2011年5月27日号